by pprobesz
以前、この記事やこの記事でWindows XPのサポート停止に関する話題を取り上げましたが、いよいよ2014年4月9日、遂にその日を迎えます。サポート停止まで、3カ月を切りましたので、ここで改めてWindows XPのサポート停止にまつわる話題を取り上げることにしました。
まず手始めに、Windows XPシェアは現在どこまで低下しているか、Operating system market shareに当たって調べてみましょう。
Operating system market share
表を見ると、2012年11月から30%台をキープしていたシェアが、2013年12月を境に、やっと3割(28.98%)を割り込むところまできています。しかし期限切れまであと4カ月。それを考えると、OSのリプレースが迅速に進んでいるとは到底言えない状況です。
サポート期間終了後も利用意欲がなくならないWindows XP
次に、国内業務向けPCの状況はどうなっていると思って調べていたら、セキュリティ製品で知られるトレンドマイクロさんが、企業のIT管理者を対象とした調査を実施しているのと見つけました。この調査でも、まだまだWindows XPマシンが現役で稼動していていることが分かります。-Windows XPのセキュリティに関する企業ユーザ意識調査- Windows XP利用企業のIT管理者、約半数がサポート終了後も業務利用意向あり | トレンドマイクロ
こちら調査結果によると、53.8%のIT管理者が、現在も勤務先の業務用PCでWindows XPを使っていると回答し、そのうちの約半数(47.7%)が4月のサポート終了以降も使い続けると答えたことが分かりました。その中には、そもそも以降予定がないと答えた回答者が2割強(22.4%)もいるというから驚きです。
「移行が間に合わない」「使えないアプリケーションがある」「移行コストがかかる」が主な理由のようですが、本来情報セキュリティに敏感であるはずのIT管理者の回答ゆえに、問題の深刻さがうかがえます。
ネットワーク接続を絶っていれば大丈夫。ということなのでしょうか。
生活のあらゆる場面で生き続けるWindows XP
ところで、いままで見てきた数字は家庭やオフィスの利用状況でしたが、その他の分野ではどうでしょう?先日もネットでこんなニュースが話題になりました。
Windows XPを使ったATMが95%も存在し、更新が間に合わないおそれ – GIGAZINE
日本でも、産業向け機器にWindows XPが搭載されていことは稀ではありません。
ここで取り上げられているATMのほかにも、製造現場で使われる工作機器やスーパーのPOSレジ、自販機、デジタルサイネージや医療現場の検査装置などの産業向け機器にも多数ライセンスされています。
さらに、産業向け機器のためにビルドされたWindows Embeddedシリーズの中から、Windows XPをベースで開発されていた3製品のサポート終了日についても調べてみたところ、2014年以降もサポートが続く2つの製品を見つけました。
2014年4月9日 Windows XP Professional for Embedded System
2016年1月13日 Windows XP Embedded
2019年1月9日 Windows Embedded Standard 2009
※いずれも日本時間
この”時差”を利用し、Windows XPを延命するサービスも登場していますが、それでも、2016年、2019年と順次終了することは確定しています。
セキュリティホールを突かれる前に、最新OSへの切り替えが求められるのは言うまでもありませんが、デスクトップ版のWindows XPユーザと同じように、ネットワーク接続しなければ大丈夫と考えるユーザや、リスクの存在を知りつつも、移行コストを理由に利用中の産業向け機器の耐用年数までは凌ぎたいと考える経営者は、一定数残り続けるでしょう。
Windows XPの利用が減るにしたがって、大きな事故につながる危険性は低下するでしょうが、この先も脆弱性を抱えたWindows XP(とその派生OS)が生き残り続けるのは、どうやら間違いなさそう。
もし、東京オリンピックが開催される2020年になっても、Windows XPにまつわるセキュリティ問題が取りざたされるようなことがあったとしたら……。
ちょっと笑えない事態ですが、あながち妄想とも言いきれないのが現代社会というもの。少なくとも社会に影響を与えるような大問題にならないことを祈るばかりです。
個人ユーザも、Windows XPにまつわるリスクが2014年以降も存在することを知っておいたほうがよさそうです。